・形態変異系統
変化朝顔とよばれる形態変異体のコレクションで、向背軸形成に関する変異も多く含まれる。 また、花弁を増やすために牡丹(dp) という強い八重咲き変異を保持した系統も多く、これはABCモデルにおける、C機能MADS-box遺伝子の変異体であり、近年見つかったB機能変異に相当する無弁花(cd-ps)を持つ系統もある。
アサガオの多くの系統では内在のトランスポゾン(Tpn1ファミリー)の転移が続いており、自家受粉する性質と相まって系統保存の過程でも新規の変異体が見つかっている。
Q441 (fe dp) x Q1065 (TKS) :花弁のの修飾変異のマップに用いた系統
・花色変異系統
アサガオは他のモデル植物はもとより、園芸植物としても花色や模様変異が豊富で、花色の発現機構やRNA干渉などの機構を解析するために優れた系である。基礎生物学研究所等の研究者が解析して
遺伝子構造が明らかにされている系統をはじめ、観賞用の大輪咲系統にも未同定のものを含む多数の花色変異が含まれる。
・マッピング用系統
15群からなる染色体の代表的な表現型マーカーコレクションを含んでいる(整備中)。また世界各地の自然集団由来系統(エコタイプ)もマッピングに用いられており、特にアメリカアサガオ(Q65)およびアフリカ系統(Q63)がよく利用されている。
QX10(new series) Q65 x Q931-F2 strains
・組換え近交系統(RILs; QR001-QR210)
ゲノムプロジェクトにおいて、RAD-seqによる染色体マーカー作製にも用いられた東京古型(Q1065)とアフリカ系統(Q63)のF2展開株の自殖を進めた系統群。まだ自殖を進めている系統もあるが、F8世代以上自殖を進めた系統の種子が150以上提供可能である。
F8世代の画像情報
・突然変異誘発系統
易変性系統Q1072の持つ、松島(y-m)および雀斑(a3-f)が復帰変異を起こした系統(Q1072R; prは混在している)、および東京古型(Q1065)にEMS処理を行ったM2種子(QEシリーズ)を提供しており、これらは基礎生物学研究所の植物・変異モニタリングシステム(PPMs)でも利用されている。Q1072Rは節間緑色(ig)変異を持つため自然交雑を起こした株はつるが着色するためある程度区別できる。