アサガオ(朝顔、英名:Japanese morning glory、学名:Ipomoea nil Rothまたは Pharbitis nil Choisyは他の同属の多くの植物種と同様に、熱帯アメリカ原産の植物だと考えられており、汎世界的に分布していますが、園芸的に利用されたのは日本だけで、日本独自の園芸・実験(モデル)植物だと言うことができます。
日本へは奈良時代、遣唐使によって中国から薬草(下剤)として利用するために渡来したと考えられています。日本に渡来して以降の長い期間、数えるほどの変異はしか記録されていませんが、江戸時代後期の文化文政期には数多くの変異体が見つかり、大坂や江戸でアサガオの栽培ブームが起こりました。その後、幾度かの栽培ブームや系統消失の危機を乗り越えて現在まで保存されてきています。
メンデルの法則の再発見以降、日本においてアサガオが遺伝学の実験材料として利用されるようになり、戦後は鋭敏に日長に反応して花芽を付ける性質から生理学研究の材料にも用いられるようになりました。現在では、花の色素の天然有機物化学、花色の発現、花弁の老化、花の開花機構等、さまざまな生物科学分野での利用も広がっています。
当研究室は文部科学省(平成26年度から令和2年度までは日本医療研究開発機構)のナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の代表機関に指定されており、アサガオおよび近縁種の系統の収集・保存等の研究環境の整備を行っており、研究者にはこれらの系統の提供を行っています。このウェブページは、当研究室が保存しているアサガオの情報を提供し、アサガオを用いた研究活動に資するために1998年に仁田坂によって開設され、現在まで維持管理されています。
アサガオはメンデルの法則の再発見以降、遺伝学の実験材料として利用され、最初の論文は1916年の日本育種学会会報、第1巻に2報の論文が掲載されたのが最初です。 ちなみに、この日本育種学会は現在の日本育種学会ではなく、1920年に設立された日本遺伝学会の前身です。外山はカイコを使って日本で初めてメンデル則の研究を行ってことでも良く知られています。以下のリンクをクリックするとオリジナル論文(PDF)を見ることができます。
2015年度より、タキイ種苗(株)の開発した特許技術「レーザー光照射による硬実種子の発芽改善方法及び発芽改善種子(特許番号4343790号;KR100558504)」の使用許諾を得て皆様への提供種子にも利用できることになりました。刃物や濃硫酸を用いたこれまで方法のような危険性もなく、短時間で大量に処理することができます。詳しくはこちらのページをご覧ください。